AEDの適応・使用法[2011/08/22追加] | p.147 [C-23]鑑別診断 5,9行目 | Q | 「呼びかけや身体の接触に反応がなく,呼吸もない場合に心停止と判断する」とございますが,心停止の定義は「心臓の循環機能が途絶えた状態であり,具体的には,脈拍の触知ができないこと」ではないでしょうか。 | A | (血圧計や心電図モニターがない)日常生活場面での「心停止」の判断は,傍に居合わせた人が行いますが,医療者と非医療者では方法が異なります。
非医療者は「呼びかけや身体の接触に反応がなく,呼吸がみられない」ことで心停止と判断します。
医療者はこれらの観察とともに「総頸動脈を触診して脈が触知しない」ことを加えて心停止と判断します。総頸動脈が触知しない場合の収縮期圧は60mmHg未満です(血圧の正確な値はこの時点では不明です)。
ここまででおわかりいただける通り,選択肢考察「○a」の記載は非医療者向けで,医師が非医療者にAEDの使用方法を説明する際の「心停止」の判断方法を説明する内容となっています。
非医療者に総頸動脈の触診を求めないのは,脈がうまく触知できなかったり,触知しないのに触知すると勘違いすることが多いからです。
選択肢考察には非医療者でもできる「心停止」の判断方法と医療者の判断方法の両方を 書くべきだったかもしれません。記載が不十分だったことをお詫び申し上げます。
くどくなりますが,救命処置では「心停止」は,呼びかけや刺激に対する応答がないこと(この時点で119番通報とAED取り寄せによる救命システムの立ち上げを行う),正常な呼吸や体動がないこと,を極短時間観察して判断し(医療者の場合はこれらの観察中に同時に総頸動脈を触診して触知しないことを確認して)胸骨圧迫式心マッサージを開始します。
実際には心停止ではなく極低い低血圧や極端な徐脈である可能性もありますが,その場合でも有効な脳循環は途絶えている状態にあると考えられるからです。
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