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Projects 04:
医学部の低学年生向け新教材開発プロジェクト
M3 Educationで行われているプロジェクト事例に焦点を当てるインタビュー企画。
今回は「医学部の低学年生に向けた新教材」を開発するプロジェクトをピックアップ。企画が立ち上がったきっかけは、医学部の1~3年生向けの魅力的な教材がないことから「もっと医学の勉強を楽しんでもらえる何かを提供したい」という思いだった。その実現のために集まったのが外部医師として講師役を担う清川先生、医師資格を持っている設計担当の菊池さん、映像制作を担当する澤田さん、の3人。一体どのように開発は進んでいったのか、話を聞いた。
そもそも医学部の勉強は面白くありません(笑)。医学部は4年生と6年生の時に共通試験がありますが、ある意味、学生のうちは資格を取るためだけの勉強を重ねます。そして試験を暗記で乗り越えた先に待っているのは病気について何も分かっていない状態です。絶望ですよ(笑)。
すべてとは言いませんが、6年間の勉強の中には現場ではまったく役に立たない勉強も実際にはあるんですよね。これが変われば国家資格を取ってすぐに訪れる絶望も回避できるのかなと。
医学生がなぜ勉強するのかを突き詰めると、結局のところ、患者さんにいかに良い結果をもたらすかだと思うんです。この感覚が無くなってしまうと、最終的に生涯学習である医療の勉強についていけない。だからこそ楽しんでやってほしいんですよね!
そこで、学生が楽しみながら学べることを第一に新しい映像教材を3人で作っています。こだわっているのは、「いかに強い感動を与えられるか」です。医療の勉強って、全体像が見えるようになるまでに膨大な知識を暗記しないとスタート地点にたどり着けないところがありますから、それを動画で全体像がつかめるように変えていきたいんですよ。
また、医学の面白さを医師の立場から映像を通して学生に伝えていきたいとも思っています。今はプロトタイプを作っている最中ですが、分かりやすく楽しく学べるエンターテインメント性のあるものができそうです。
医学部の勉強はとても孤独です。他者と共有できる部分はほぼなく、覚える量も多い。ほとんどの学生が椅子と机と分厚い本に、適度な音楽とカフェインで医学部の6年間は埋め尽くされてしまっているので、学問の本質からはかなり外れていると思います。
そんな孤独な勉強をしてきた私たちだから、今、同じ目標を持っていっしょに開発できていることが喜びであり、やりがいです。メンバーとのディスカッションでは、激しい議論になる場面もありますけど、終わった後に残るのは「楽しさ」しかありません。
それは医学生の頃に感じたかった感覚で。時間的制約や資材的制限はありますけど、資格試験に合格するためだけの勉強が、どこかの患者さんが救われるための勉強になってくれればと。私たちの創意工夫が日本中で活躍する医師を作っていくわけですから、胸が踊りますよね。
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