本書は「社会のしくみ」を読みとく書である。現代日本の社会問題や社会福祉を,なるべく平易に,身近な「トピック」を通して学ぶ。
トピックの範囲は,子どもから高齢者,家族,地域,貧困,心理,あるいは医療,年金,労働など,広範囲にわたる。
本書の読者層として想定するのは─,
第一に,社会問題を学ぶ学生である。
例えば,大学・短大・専門学校などで,社会福祉・社会学・心理学・社会保障(政策)・公衆衛生などを専攻する学生である。またそれ以外でも(医療・看護系あるいは工学系など)広く一般教養を学習したい人も,想定されている。初学者や,世の中のしくみに通じていないと思っている人でも,気軽に読んでほしい。
第二に,社会のしくみを勉強しなおしたい社会人を対象にしている。
社会問題や社会福祉について,学習したことはあるが,様々な事象に出くわすなかで,社会のしくみを再解釈したいという人は少なくないだろう。そうした読者に対し,関連分野の研究でこれまでどんなことが議論されてきたか,また専門的な視点でみて世の流れはどちらに向いているかなど,できるだけ平易に伝えようとする。
第三に,資格試験の学習を始める受験生である。
社会問題や社会福祉などを受験科目に含む資格は少なくない。例えば社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士・保育士などの国家資格である。あるいは国家公務員第・種もそうである。こうした試験の準備を始める前に,本書を一読してほしい。そして各科目の全体像をイメージしてほしい。いきなり難しい専門的内容に入るのでなく,また細部の暗記事項に走るのでもない。気軽に本書を通読することで,ポイントを大きく把握してほしい。本書は,実際の過去問を随時取り上げ,各章では練習問題や過去問分析にも言及している。
以上のタイプ以外の読者も,もちろん大歓迎である。本書をなるべく多くの人びとに手に取って頂くことを願っている。
2007年12 月
斎藤嘉孝