薬剤師国家試験における
各医薬品の出題頻度は,過去に出題された医薬品名と相関性があると言って過言ではありません。特に,過去10年間で出題された医薬品については,①構造式,②薬理効果,③他の薬物との相互作用,についてまとめておく必要があります。本書では,これらの項目を整理しやすいように
出題回数別に医薬品を項目別に整理し,構造式をできる限り多く掲載しました。近年の国家試験では構造式から医薬品名を判断できることを前提とした問題が数多く散見されます。構造式はその
特徴を覚える程度でよく,描けるようになる必要はありません。また,近年改定された「薬学教育モデル・コアカリキュラム」では,全ての実習生がどの施設でも標準的な疾患について広く学べるよう
「代表的な8症例」が提示されました。これを受け,本書では,症例を中心に理解できるよう,
処方例をできる限り多く掲載し,臨床現場でどのような処方が行われるのかを医薬品別に参照できるように編集しました。本書に掲載されている処方は直近10年間の国家試験で出題されたものを抜粋しています。用法・用量を確認した後,処方例を考えることで処方意図を意識できるはずです。
後半は「
薬効別編」とし,代表的な8疾患に基づいて,各疾患に対する医薬品を薬効別の観点からまとめています。また,直近10年間の国家試験で出題された医薬品を薬効別に表にし追加しました。
今回の編集に伴い,出題回数の少ない医薬品をあえて削除し,掲載医薬品の数を絞り込みました。同時に,
代表的な処方薬の商品名を併記することで,実務実習を経験した,また実務実習を行っている学生にとって「実習で触れた医薬品名から連想しやすい」,また,実務実習前の学生にとっては「大学で学んだ成分名と実務実習で実際に目にする商品名の間のギャップを埋めることができる」内容にしています。
効率的かつ短時間での国試対策が求められる薬学生の皆さんのために,本書はその有効性をいかんなく発揮することでしょう。本書を大いに活用してください。
2019年7月 『でる順医薬品(第8版)』著者を代表して
日本薬科大学
齋藤 博