第118回歯科医師国家試験は,令和7年2月1日および2日に,令和5年版歯科医師国家試験出題基準(ガイドライン)に基づいて,開催された。
第118回の合格基準は,一般問題(必修問題を含む)を1問1点,臨床実地問題を1問3点とし,
① | 領域A(総論) | 58点以上/97点 |
② | 領域B(各論) | 236点以上/363点 |
③ | 必修問題 | 64点以上/80点 |
であった。
今年度第118回歯科医師国家試験の結果は,次の通りである。
| 出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
新卒者 | 2,310人 | 1,973人 | 1,657人 | 84.0% |
全 体 | 3,431人 | 3,039人 | 2,163人 | 70.3% |
昨年第117回の66.1%に続き,今年の70.3%も決して高い合格率ではないが,歯科医師過剰の現況から考えて,合格率を抑える傾向は今後も続くものと推測される。
歯科医師国家試験出題基準は原則4年に1度改定され,第118回国試は令和5年版出題基準が採用されてから3年目のものであった。第119回も概ね同様の基準で実施される予定である。
少子高齢化に伴い,今後も医療や介護の需要が見込まれ,地域包括システムの構築が求められるとともに歯科医師に対するニーズも大きく変化するであろう。今後の変更点を厚生労働省の意向をもとに予測すると,
①高齢化等による疾病構造の変化に伴う歯科医療の変化
②地域包括ケアシステムの推進や多業種連携
③口腔機能の向上や摂食機能障害への歯科医療
④医療安全やショック時の対応
⑤職業倫理
に関する問題が必修問題の中に含まれて出題されることが考えられる。
歯学教育スクールの過去のデータによれば講義の出席率が80%の人は,83%の合格率であった。 “やる気” さえ出せれば,きっと合格する。しかもその “やる気” を1年間持続させることが大切である。
いずれにしても,毎回申している「孫子語録」にあるよう,「戦をする」にはまず敵の実情を知り,自分の力を知って行えば,必ず勝つということである。
『ANSWER』の過去の問題で敵の実情を知り,勉強した成果を模擬試験で己を知れば,この戦は必ず勝つと信じて欲しい。
この本が十分に活用され1人でも多くの人が国家試験に合格できることを祈念する。
2025年4月
東京医科歯科大学名誉教授
DES歯学教育スクール理事長
田上順次