厚生労働省による平成26年版保健師助産師看護師国家試験出題基準には,精神看護学の目標が次のように提示されています。
目標Ⅰ.精神の健康と保持・増進に向けた看護について基本的な理解を問う。
目標Ⅱ.精神看護の基盤となる援助について基本的な理解を問う。
目標Ⅲ.精神疾患をもつ人の生物・心理・社会的側面への看護について基本的な理解を問う。
目標Ⅳ.精神疾患をもつ人の人権と安全を守り,回復を支援する看護について基本的な理解を問う。
今回の第5版の改訂では,この4つの目標の中で示された各項目にあてはまる問題を解くために必要な基礎知識を整理しました。また,精神看護学を学ぶ学生から,精神症状や具体的な看護場面がイメージできないという声を聞くことがありますが,本書ではイラストを加え,解答を得るための必要なポイントをわかりやすく示しました。
近年,精神保健医療福祉の分野ではさまざまな法律が制定されてきました。障害者自立支援法は改正により平成25年から障害者総合支援法とされ,平成26年からは改正精神保健福祉法が施行されました。最近の出題傾向として,これらの法律に関連する問題も目立つようになりました。今後も,精神看護学を取り巻く社会の動きに注意しながら学習を進めていくことをお勧めします。
精神看護学で得られた知識は,精神科臨床の場だけではなく他の領域の看護場面でも役立ちます。本書を用いた国家試験対策の学習が将来の看護実践に活かされることを期待しています。
2016年8月
著者