昔から,『子どもは,大人を単に小さくしたものではなく,無限の可能性と個性をもち,どんな小さな新生児でも立派なひとりの人間である』といわれています。小児看護学は看護師養成の講義・実習や看護師国家試験でも成人看護学とは別個の領域として取り上げられています。
1999(平成11)年に看護師国家試験出題基準(以下,国試ガイドライン)が作成され,さらに平成26年版国試ガイドラインとして改正されました。本書は最新の国試ガイドラインに準拠し,構成されています。国試ガイドラインでは小児看護学の大きな目標が次のように掲げられています。
目標Ⅰ.小児の成長・発達と健康増進のための小児と家族への看護について基本的な理解を問う。
目標Ⅱ.健康障害のある小児と家族が生活・療養するための看護について基本的な理解を問う。
今回の第6版の改訂では,新たに第99回から第104回(2015年2月実施)までの看護師国家試験の小児看護に関する問題を追加し,国試ガイドラインに基づいて分類しました。さらに過去問題も最新の数値・内容に改訂し,それに沿った解説にしました。
最新の国試ガイドラインに基づいた新規の追加項目は,
①乳幼児・小児の栄養(食育)
②学童をとりまく社会環境
③災害におけるトリアージと対応
④他職種との連携と社会資源の活用
⑤DSM─ⅣからDSM─5による広汎性発達障害から自閉症スペクトラムへの変更
などです。
この本で小児看護学の知識を整理し,本番の看護師国家試験に臨んでください。もしも,国家試験会場で選択肢に迷ったら,病気や障害をもつ子どもの母親の気持ちになって『お母さんのやさしさときびしさのある選択肢』を選んでください。
この十年,医療・福祉・介護・保育・教育などの多方面で大きな変化があり,看護師の皆さんの活躍する場所はさらに広くなっています。看護国試を通過して,プロとして一緒に仕事ができる日を待っています。
2016年3月
テコム編集委員会 横井 茂夫,井田 博幸