本書はもともと,医師向けの腫瘍学関係の資格試験対策のために企画されたが,版を重ねるにつれ,最新のガイドラインに基づいた総合的な「腫瘍学問題集」になった。がん関連の資格試験の中でも「がん治療認定医試験」は我が国におけるがん医療水準の均てん化と向上のために17年前に開始され,臨床的な良問が多く,知識の整理・確認に最適なため,本書では初版からこの試験を主なターゲットとしてきた。しかし,最近は医師のみならず,薬剤師,看護師,医療関係の学生から,本書が以下の資格試験にも有益であったと聞くことができ,望外の喜びである。
・がん治療認定医試験
・がん薬物療法専門医試験
・内科専門医試験
・外科専門医試験
・がん専門薬剤師試験
・薬剤師国家試験
・認定看護師試験(がん化学療法,がん疼痛,緩和ケア)
・MR認定試験
・がん看護専門看護師試験
腫瘍学(oncology)は日進月歩で,2018年にWHOのオピオイド使用の5原則が4原則になったり,2016年に膵がんのⅣa・ⅣbがⅣ期に統一されるなど,ガイドラインは頻回に改訂される。しかも,各臓器のがん治療ガイドラインの改訂の時期が異なるため,最新のデータを一冊にまとめるのはかなり難しい。このため第10版でも,日々,実地臨床にたずさわっている新進気鋭の先生方に加わっていただき,最新知識をさらに充実させることができた。
本書を天国にいる私の両親,卯之助と幸代に捧げたい。
令和6年6月
井上大輔